CONTAX AXっていいカメラ? その3
CONTAX AXの特徴2
マクロモードがボディに搭載されている
一般的にマクロ撮影をする場合
・マクロレンズを使う
・マクロ機能のあるレンズを使う※1
・クローズアップフィルターを使う※2
・接写リングを使う※3
・リバースリングで広角レンズを逆に装着する(一般的か?)※4
と、全てレンズ側で接写への対応をさせるのですが、AXにはなんとボディに「MACRO」というモードがあるのです!
理屈は割と簡単、オートフォーカス機構の応用でフィルム面をバックさせるだけ。
無限遠ではピントが合わなくなりますが、マクロレンズ以外でも結果は一緒なので不便には感じません。逆にレンズに余計な「〜リング」などをつけなくてよいため、手間もありません。
ですが効果は絶大、最短撮影距離約1mのプラナー85mmF1.4でも、約半分の50cmくらいまで寄れてしまう。このままお花を綺麗に撮ってもいいですし、せっかくプラナーなので女性の目元のアップでもいいんじゃね?となります。
コンタックスのマクロプラナーはシャープな描写をする代償として、こういう写真を撮ろうとすると「写り過ぎる」傾向にあるため、僕にとってはこのマクロ機能が役に立つのです。
ちなみに。
僕はずーーーーっと前から「5軸ボディ内手ぶれ補正」を搭載したデジカメにはこれが可能なんじゃないかと思っています。
どっかのメーカーで実現しないものでしょうか?※5
CONTAX AXの特徴3
フェザータッチじゃないことの良さ
突然ですがみなさん、親指AFしてますか?
…8割以上はしてないし、そのうち半分以上は「親指でAFってなに?」ですよね。
一般的にAFっていったら、シャッターボタンを半押ししてピント合わせを開始、合焦したら押し込みという手順をとると思います。
親指AF、便利なのになっ。
それは注釈で説明する※6として、AXも方式は同じ。
半押ししてピント合わせ、合ったらそのまま押し込むとシャッターが切れる、です。
これがいい。
…意味わかんないですねすみません、ご説明します。
ドイツで休眠状態だったコンタックスブランド※7が、1975年に日本のヤシカで復活した時最初に発売されたカメラは「RTS」という名前でした。
これ、Real Time Systemの略です。
シャッターチャンスを感じた人間がシャッターボタンを押して、実際にシャッターが切れるまでのタイムラグをできる限り短くするため、当初から電子式シャッターを導入した※8上に「ボタンストロークが軽くてとても短い」というのが、コンタックスカメラのコンセプトとなり、これ以後も貫かれました(一部例外あり)。
これはこれで大変素晴らしいのですがそうなると、デジカメ出身の僕が不用意にRTSで撮ろうとしてシャッターボタンに指を乗せた瞬間
「あ」
「カシャ」…。
ごくたまにですが、こんなことも起きてしまいます。
ほら、νガンダムのフィンファンネルがアムロの意思に敏感に反応しすぎて※9…わかりにく過ぎる例えなので無視してください(笑)
現在「フェザータッチシャッター」を売りにしている富士フイルムX-H1の40数年も前に、同様のシャッターは存在していたのですね。
AXはその点、今の二段階ボタンと同じ感覚で押せるため、安心です。
しかも、現代の最上級機を除くデジタル一眼レフと違ってシャッターボタンの感触がグニュっとしていないので※10、フィーリングも良く撮り味が小気味いいのです。
今回は2つ書いてしまいましたが、まだ特徴はあるので次回もお楽しみに。
<注釈>
※1 レンズ名の末尾に「MACRO」と書いているものが該当します。
※2 プロテクトフィルターと同様レンズの前に、フィルターレンズを一枚ねじ込んでつけます。一般的にNo.1〜No.3まで販売されていて、数字が大きいほど倍率が高くなり、ピントの合う範囲が狭くなります。
※3 クローズアップフィルターと逆に、レンズの後ろにつける筒状のものです。
※4 実はレンズを前後逆さまにしてカメラへ装着すると、接写が可能になります。絞りをボディで制御するようになったAF全盛時代にほぼ絶滅した技術です。
※5 これって意外に誰からも気づかれないテクノロジーなのでは?極楽堂WEBサイトに「クローズアップの部屋」がありますが、実はそこでも取り上げられていないのです。
※6 中級以上の一眼レフには右手親指を乗せる位置にAFボタンがあります。シャッターを半押しすると測光もピントもやり直してしまうため、それらをFIXしておきたい時や、逆にシャッターはシャッター機能だけにして、フォーカス・測光ボタンを独立させたい時に使用します(もちろんAXにもあります)。
※7 旧Contaxブランドについて詳しくは割愛しますが、ライカと並ぶカメラメーカーであり、レンズ・カメラともに先進性が高く、ニコンSシステムのパクリ元…じゃなかった、いいお手本でした。戦争でツァイスがパックリ東西に分割されなければ歴史は変わったかもしれません。
※8 ヤシカというブランド自体は今香港で存在していますが別会社。旧ヤシカは「ヤシカエレクトロ」など電子制御カメラの製造に長けていて、それが協業の決め手になったとか。このヤシカが京セラに吸収合併されてコンタックスはさらにとんがった…じゃなかった、優れた技術を手に入れることになりました。実は旭光学(PENTAX)と組む話も進んでいたらしく、その名残を所々で見つけると、カメラのIFの歴史が楽しめます。
※9 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」より。みんな、試運転はちゃんとしようね(byオクトーバー・サラン)。
※10 Canon EOS6Dのシャッターボタンはユルかったなぁ。